測色の応用編

入射光および反射光における概念図

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物体表面、例えば、印刷紙面の黄色部分に光が入射した場合を考えます。
入射した光(①)の一部は、表面で反射(②)し、一部の光は内部に屈折して入り(③)、黄色インクにより紫や青色波長領域を選択的に吸収され、残った黄色の光(④)の一部は白色紙面で反射され、再度黄色インク層へ(⑤)、一部は(⑥)紙内部へ入ります。白色紙面で再度黄色インク層へ反射された黄色の光(⑤)は、再度黄色インクにより紫や青色波長領域を選択的に吸収されながら空気層との境界に達し(⑦)、一部は再度反射してインク層へ(⑧)、一部(⑨)は空中へ出ていきます。紙内部へ入った光(⑥)は、塗工層、原紙で散乱・吸収され、一部は裏面から透過光(⑪)として出ていきます。反射光は、②と⑨で構成され、表面の光沢やテクスチャーの影響を受ける空間的特性と、主にインク層による波長選択的吸収の影響を受ける波長特性を持っています。透過光⑪も空間的特性と波長特性を持っています。これら空間的特性と波長特性の測定法について説明し、最終的には基本的測定法である変角分光測色システムによる出力データが理解出来ることを目標にしています。

サーモクロミズム・フォトクロミズムとは

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物体の色は、有彩色の場合、温度の影響を受け、可逆的に変化するのが普通で、サーモクロミズムと呼ばれています。例えば、赤色試料の分光分布曲線は、右図の低温時及び高温時赤色試料の実線の曲線のように短波長領域は低反射率(透過率)係数で、長波長領域で高反射率(透過率)係数になりますが、高温の時は低温の時より分光分布曲線の立ち上がりが長波長側にずれ、分光分布曲線が長波長側に平行移動したようになります。緑色試料の場合も、高温の時は低温の時より分光分布曲線の立ち上がり、立ち下がりが長波長側にずれ、分光分布曲線が長波長側に平行移動したようになります。一般的には彩度が高いものほど大きく変化します。照明光が強い場合も同様の影響を受け、フォトクロミズムと呼ばれています。暗環境下の試料に強い照明光を照射すると分光分布曲線が長波長側に平行移動したようになります。

構造色、干渉色における変角測色

上の写真のようなパールペイント塗膜やカラーアルミサッシは、観測方向や照射方向が変わると色が変化して見え、フロップ効果と呼ばれています。専用ソフトウェアの指令により入射角や受光角を自由に変えられる変角分光光度計GSP-2B型を中心構成とする変角分光測色システムGCMS-4B型により、膨大なデータ量となるフロップ効果の測定を、能率的に行うことができます。変角測色はデータ数が多く、測定に長時間要するのが普通ですが、GSP-2B型分光光度計はフォトダイオードアレイ方式で高速なので、1角度あたり数秒で測定することが出来ます。測定結果は、テキストデータとして各角度毎の分光反射(透過)率係数やL*a*b*などが得られるのでエクセルの機能を使用して下図のようなab色度図で角度による色の変化の軌跡を追うことができます。勿論、専用ソフトウェアで下図を含む多種のグラフの表示も可能です。

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